一人飲みに目覚めたのは20代後半。
当時は仕事終わりに時間があれば、お気に入りの店に足を運んでいたものだ。
その時によく通っていたのがシャンパンバー「カフェ・ド・ペルル」である。
あだ名が「ウォッカ」と、名前からして酒飲みの友人から教えてもらったお店だ。
中野周辺で飲むことが多かった会長が、唯一、銀座にて行きつけだったお店である。
こちらのお店は、外観も内観も洗練されている雰囲気漂う一方で、マスターが気さくなこともあり、気軽に行けるお店になっていた。
しかし、あんなに通い慣れていたはずなのに、途中から全く行かなくなってしまった。
というのは、お店が閉店したものと勘違いしていたのだ。
ある時、日中に店の近くを歩いていたらビルごと解体されており、工事をしていた。
その様子を見て、お店が閉店(ないしは移転)したものと思い、通わなくなっていたのだ。
しかし、数年後、また店の近くを通った時に気付いたのは・・・・・・。
「あれ、お店あるじゃん。全然移転も解体もしてないじゃん」
そう、会長が見ていた工事の様子は隣のビルだったのである。
というわけで、久々にこちらのお店に再訪。
果たして、マスターは会長のことを覚えているだろか。
店内には先客が。
どうやら出勤前に同伴中の男性とホステスさんだ。
さすが銀座である。
少し緊張しつつ、お店へ入る。
と、マスター、会長に反応してくれる。
「おお、久しぶりです」
「お久しぶりです、覚えてくれていたんですね」
「そりゃあ、もう。会長さんでしょ」
うれしいことに名前まで覚えてくれていた。
こちらのお店にはメニューがない。
好みを伝えるとマスターが選んでくれるドリンクがやってくる。
一杯あたりのお値段はモノによって、それなりにするものもあるが、お安いものも用意してくれている。
ので、お金がないときは「コスパがいいものをお願いします」と伝えてみるのが良いかもしれない。
優しいマスターがそれなりのものを選んでくれるだろう。
久々の会話に花が咲く。
マスターも会長もそれなりに環境が変化していた。
住まいも変わり、パートナーも変わり、なんなら、体重も変わっていた。
4年もの歳月の間に、お互い、脂肪を蓄えていたようだ。
おそるべし、時間の流れ。
しかし、お店の雰囲気とマスターの人柄は相変わらずである。
また仕事帰りに立ち寄ろうと、店を後にするのであった。
「カフェ・ド・ペルル」
104-0061
東京都中央区銀座7-7-9 山市ビル 1F
03-6274-6845