カニさんありがとう。

直帰の日。
仕事終わり外に出れば、おや、まだ明るい。

あ、なんだか得した気分。
飲んでから帰ろうかしら。

と向かったのは、ずっと気になっていた立ち飲み割烹のお店、「銀座しまだ」である。
以前、日比谷ミッドタウンにある立ち飲み割烹「三文」に行ってから、その魅力に味をしめてしまった会長。本格的な割烹料理が気軽に比較的お安く楽しめて、満足感が高いのだ。

お店へと向かう。
コリドー街近くの路地に、お店があった。
ぼんやりと光る置き提灯。

扉を開くと着物姿の美人女将さんが出迎えてくれた。
奥には先客の男性二人組。
どうやら数日前にもこちらのお店に来たのだが、料理が美味しくて日を待たずして再訪したそうな。期待が高まる。

ビールを注文。
仕事終わりにゴクゴクするのはたまりませぬ。

おつまみは「サバの燻製とじゃが芋の春巻」。
鯖好き芋好きの会長にはうってつけ。
燻製の旨味と酸味に芋のほっくりした感じが乗っかってて、複雑な味わい。
美味しい。

そして、からしをつけすぎた。
地味に一人で涙する・・・・・・。
と美人女将さんに話しかけられる。
「初めていらっしゃいましたか?」

「そうなんですよ、ずっと以前から気になっていたお店でして」

「ありがとうございます。うちは女性のお一人さまも結構いるんですよ。いつでもいらしてくださいね。」

単純なので、美人さんに優しい言葉をかけられると、また来たくなっちゃう。

と、隣の男性から注文する声が。
「香箱ガニある?これ美味しいんだよね。もうこれを食べたくて食べたくて」

「ありますよー。鯖寿司も香箱ガニも早い時間に売り切れることが多いので、あってよかったです」

なにそれ、美味しそう。
って一人で食べるには、だいぶ贅沢なお値段の品。
ううう、どうしよう。
しかし、隣の男性がうまいうまい言っているのを見て、見過ごすことはできぬ。

「こ、香箱ガニください。」
テンパりつつ、注文。

そして、届いて見たら、あら豪華。
「香箱ガニは漁できる時期が短くて、貴重なカニなんですよ。ズワイガニの雌ガニで子持ちなんです」

ひえ。子持ちなのね。なんか、ごめん、カニ。
でも美味しそうだから、いただく。
卵の一つ一つに感謝するつもりで口に入れる。
うま、あま、ぷちっと快感。
これは、また食べたくなっちゃう男性の気持ちが分かるわ。

日本酒は福井の地酒「早瀬浦」を注文し、ぐびぐび飲む。

と、食と飲みに没頭していたわけなのだが、ふと我にかえる。
あ、これ、夫にも食べさせてあげたかったな。

この日は、夕飯を作らず。
罪滅ぼしに土産に鯖寿司を買って帰るのだった。

無論、めっちゃ美味しい香箱ガニを一人で堪能したのよ、なんて話は、一切、彼にはしていない。

※この日記読んで、香箱ガニ食べたくなったあなたに、ごめんなさい。
香箱ガニは11月上旬から12月下旬までの貴重な食べ物、いまの時期は食べられないようです。今年の年末を楽しみにしててくださいませ。

銀座しまだ
〒104-0061
東京都中央区銀座8-2-8 高坂ビル1F
03-3572-8972

「とりあえず今はカニ缶でがまんがまん。」

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