レンタルなんもしない人さんと。-前編-

人生で初めて、SNS上で知った人に連絡を取り、会うことになった。
レンタルなんもしない人さん(以下、レンタルさん)である。

レンタルさんは「レンタルなんもしない人」というサービスを提供されている方だ。「1人で入りにくい店、ゲームの人数あわせ、花見の場所とりなど、ただ1人の人間の存在だけが必要なシーンでご利用」できる。
書籍化、ドラマ化、漫画化などもされており、大人気のサービス(お方)なのだ。

レンタルさんのツイートを拝見することが多々あった。サービス依頼者との出来事を簡潔に表現しているのだが、面白さが伝わってくる。140文字という制限の中で、あらゆる人の共感を得られる秀逸なコンテンツを生み出し続けているのって本当にすごい。

人物像にも強い関心があったが、サービス内容にも惹かれていた。というか、人物そのものがサービスみたいな気もする。

この日記は女性が一人で飲む様子を記録している日記。
読者の中には、一人で飲みに行ってみたいけど、まだ一歩を踏み出せていない方もいるかもしれない。
そんな時にこそ、レンタルさんのサービスは安心して利用しやすいのではないだろか。

恋人でもなく、友達でもなく、レンタルさんは、なんもしない人。そういう方であれば、自分一人で行くよりは安心だけど、なんもしてくれないから、自分一人で店を楽しむ必要が出てくる。ファーストステップにふさわしい気がするぞ。

というわけで、皆様にサービスの体験談を伝えるべく、会長自らレンタルさんをお借りすることにしてみた。

事前にレンタルさんの本も読んだ上で、いざレンタルさんとの待ち合わせ場所へ。

いくら事前情報を得ているとはいえ、ちょっぴり緊張。
時間ぴったりに駅に着く。

すらりとした高身長の爽やかイケメンお兄さん。
レンタルさんである。

早速、一緒にお目当のお店へと向かうことに。
この日は久々の京成立石駅。
ちょっと迷いそうになり、地図を開く。

通常なら、人と飲みに行くときは、こっちかな、あっちかな、あ、こっちだね、などとやりとりが発生するものであるが、レンタルさんは、人間の存在だけを売りとしているサービスであり、なんもしてくれない、というか、してくれることを期待しちゃいけない。頼れるのは自分だけなのだ。
このお店、こっちですかね、と地図を見せようとするのをぐっと堪えた。

無事、お店に到着。
席に着く。
チョイスしたのは、「二毛作」というおでん居酒屋。

特別営業中とのことで、この日はコースの注文のみであった。

会長は生、レンタルさんはレモンサワーを注文していた。
生、美味しい。
泡のキメが細かい。

お通しは湯葉。

コース料理の一品目は豪華な盛り合わせ。

お酒を飲みたくなっちゃう小鉢ばかりで、すぐにグラスは空いた。

2杯目は日本酒を。
レンタルさんにも飲まれますか、と聞いたところ、じゃあ少しだけ、とのお返事。

少しだけって言っていたのに、レモンサワーをチェイサーがわりにしつつ、グラスなみなみの日本酒を飲みきっていた。

レンタルさん、実はお酒強いらしい。
勝手にアルコールに弱い人を想像していたので、一安心。

3杯目はおかんを。

レンタルさんのおちょこにも注ぐ。
会長は手酌。
ちょっとくらい、注いでくれてもいいじゃない、と言う気持ちを起こしてはダメである。サービスの規約違反でしょう。

レンタルさんはけっこう飲んでいるはずなのに、顔色変えず、様子も変わらず、終始淡々とされていた。

お刺身もぺろり。

おでんもぺろり。

レンタルさんは、なんもしないというサービスを提供されているために、なんも喋らない人という印象を持っている人がいるかもしれないが、そんなことはない。
確かに、彼からこちらに質問や話題を提供することは皆無。
しかし、こちらが質問すると、色々と話してくれる。
どんな質問でも誠実に答えてくれるため、楽しいと思える時間となっていた。
それに、レンタルさんが回答する内容自体も、自らの体験を踏まえた強い裏付けがあるものばかりで面白いのだ。ふわふわしてない。

話していて印象的だったのが、レンタルさんは、今とても満たされていて、「いま、死んでもいい」というくらい幸せと言っていたこと。
これは仕事面でもプライベートの面でも、全てにおいて、そう。
朴訥な様子からは想像つかないが、実はレンタルさんは承認欲求がめちゃくちゃ強いらしく、今となっては望み通りの状態だそうな。

会長も同じく承認欲求がけっこう強い。
誰かに認められると、とっても嬉しい。
でも、そんな欲求を恥ずかしいと思うこともあって、心の隅っこに置いてしまうときがある。

しかし、レンタルさんはその欲求を自身も認めているし、世間にも認められているし、幸せなのだ。スルスルと満たされている現状を話す彼を見て、いいな。うらやましい。心の底から思った。

と、コース料理もひと段落したところで横を見れば、全く酔っていないレンタルさん。

これは、はしごしちゃうでしょう。
次なるお店を目指すのだった。

つづく。

おでん二毛作
〒124-0012
東京都葛飾区立石 1-14-4 高橋ビル一階
03-3694-2039

「レンタルさん書籍化マンガ化ドラマ化。」

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