負けた話。

実はワインも好きな会長。
あまり自分で買うことはないのだが、自粛生活も長くなってきて冒険したくなってきた。
というわけで、突如7,000円もするワインを買ってしまった。

有機栽培のぶどうを使っているカリフォルニアワインだそう。
味の予測もつかずに買ってしまった手前、何をつまみにしていいかも分からない。

と、冷蔵庫を見て思い出したのは、いいお酒を買ったら食べようとしまいこんでいたチーズである。
「スティルトンジャー」という名のブルーチーズ。
なんと陶器に入っており、見た目からして高級チーズという代物なのだ。
エリザベス女王が毎日食しているそうですよ、という店員さんの謳い文句に惹かれて買ったものの、食べるタイミングを逃していた。
まさに、このお高い赤ワインにぴったりなのではなかろうか。

ひとまず、チーズ、クラッカー、ワインをテーブルに並べた。

おお。
普段から一升瓶の日本酒をがぶ飲みしている会長からは予想もつかないような、映える食卓になった気がするぞ。

ドキドキしながら、チーズの蓋をあける。

むむ。
陶器の蓋の下ではさらにチーズの劣化を防ぐためのミツロウの蓋がついている。
そっとナイフでミツロウの端をなぞっていく。

一周したところで、ぽこっとミツロウが外れた。
綺麗な青色がかったチーズが見えた。

そして、お次に肝心のワインである。
ここで痛手に気づく。
きちんとしたソムリエナイフを持っていない。
あったのは、缶切りやら栓抜きやらがついている安物のマルチなワインオープナーのみ。
いつも人に開けてもらっているのだが、本当に開けられるのだろうか。

ひとまず、スクリュー部分をコルクに中心に刺していく。
きちんと刺さったことを確認した上で、いざ抜いてみる。
あれ。
全然抜けない。
力任せにやすとコルクが割れることは知っている。
このままではいけない。

ゆっくりと様々な角度に力点を持たせながら引いてみる。
全然抜けない。

調べてみたら、垂直に力を入れるのが良いみたい。
というわけで、思いっきり足でワインを挟んで真っ直ぐ上にコルクを引いてみる。
お。抜けた。

と思ってみたら。
あれれ。
コルクが中で割れてしまった。

がーん。
コルクに負けました。

若輩者の会長には、まだ飲ませてもらえないようである。

最終手段として、コルクを中へ押し込むこともできたのだが、せっかくなのでコルクの屑がない状態で美味しく飲みたい。
というわけで、この日は飲むのを断念して、一旦セラーへと戻すことにした。
仕方なく、その後はスクリューキャップのチリワインをがぶ飲みしましたとさ。

次回日記は2020.05.23ごろ更新予定。
前回日記はこちら

「ソムリエナイフ買うことにしました。」