熱海で夫婦酒。-前編-

夫は旅行が好きではない。
会長が予定を組もうとするとあからさまに嫌な顔をする。
「東京だって楽しい場所たくさんあるじゃないか。美味しいものもたくさんあるし」
挙句には「VR(バーチャルリアリティ)で旅行すればいいよ」などという始末。
彼曰く、旅行の行き帰りご飯など考えることが多くて疲れるらしい。
家にいれば、美味しい食べ物食べながら漫画読んだりアマゾンプライム見たり、インターネット環境も常に整っていて、やりたいことがいっぱいあるから、旅行よりもいいということらしい。

しかし、旅行大好きな会長がここで黙っているわけにはいかない。
もはや予定を一緒に組むというよりも、勝手に予定を決めて、旅行に連れて行くという強硬手段に出ることにした。
旅行の楽しさを知ってもらうことを胸に。

新幹線に揺られること約40分。
熱海駅に着く。
多くの人で賑わっている。

夫を連れていったのは、熱海でお気に入りのワインバー。

数年前に来た際、一人でおじゃましたことがあるお店だ。
商店街を抜けてすぐのところにある大通り沿いにひっそりと佇む。
一見、入りづらいお店ではあるのだが、店主の方のこだわりからか、美味しいワインがたくさん揃っているのだ。

会長はシャンパン、夫は赤のスパークリングワインで乾杯。

旅行に期待を全くしていなかった夫。
ワインの美味しさに感動している。
(熱海とは全く関係ないのではあるが・・・・・・。)

そしておつまみに「アジのマリネ」と「牡蠣のオイル漬け」。

ずっしりと重厚感のある石でできたようなお皿でやって来た。
センスの良さを感じる。
おつまみの味わいも絶妙で、ワインが進む。
二人して、冬の暖かな日差しの中、気分良く飲むことができた。

夫もなんだか楽しそうである。
よしよし。

その後は商店街を散策し、ホテルの送迎バスの待ち合わせ場所へ。
この日のお宿は、貸し会議室のTKPが手がけている「レクトーレ熱海小嵐」である。
とても清潔感のある館内。
ロビーにはお茶やコーヒーのフリードリンクスペースもある。
従業員の方も皆親切でオススメの飲食店や観光案内を丁寧にしてくれる素晴らしい接客。
さらには夕方の外出の際には車で送ってもらえることになった。
優しい。

一方で、部屋に入るとビジネス色がちらつく。

コースターにもTKPの文字が。

机の上にはタブレットフォン。
「あれ、漫画が読めるよ」と会長。
「おおーホントだ」とテンションの上がる夫。
もちろん無料Wi-fiもある。
高級ネカフェにいる気分だ。
まるで夫の理想郷。
機嫌が良さそうだ。
(ちょっと旅行の醍醐味とずれる気もするが)よしよし。

その後は温泉に入り、夜の街へ繰り出すのであった。
つづく。

「ENOTECA MANIFATTURA(エノテカマニファットゥーラ)」
静岡県熱海市田原本町7-2 香月ビル

次回日記は2019.2.1更新予定。
前回日記はこちら

「ロビーの本棚にて発見。」

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