夫がいぬまの嫁は。–後編–

お寿司をたらふく食べた帰り道、同じ通りに何やら素敵な雰囲気を醸し出す立ち飲み屋さんを発見。

どうやらワインの角打ちらしい。
吸い込まれるように、姉と一緒に入っていく。

姉はホットワイン、会長は白ワインを注文。
お寿司の後ということもあり、甘めのものをお願いした。
出てきたのはオレゴン州のワイン。
スッキリとした甘みがあって飲みやすい。

おつまみには「ケールチップス」と「しいたけチップス」。

角打なので、どちらも購入可能なつまみとなっている。

つまみとワインを堪能していたら、視界に見たことある人が入ってきた。

「あ、さっき寿司清にいたお兄さんだ」
思わず声をあげる。
「おおー。さっきのお店で会ってたんだね」とお兄さん。

こちらのお兄さん。
こちらのお店に寄る前に行った「寿司清」にて、隣に座っていた方だったのだ。海外のカップルを英語でおもてなししている気さくな姿が印象的で、覚えていた。

そのときと同様にフランクな雰囲気のお兄さん。
一方、隣には笑顔が素敵な美人なお姉さんもいる。

姉が「おおー奥さまですか?」と尋ねると、「いやいや」と否定するお兄さん。
一方で「なになにー?」とキラキラな笑顔で聞いてくるお姉さん。

あれ、なんかまずいこと聞いちゃったか。
てか、お兄さん、お寿司屋さんでは、奥さん待ってるから早く帰らなきゃ的なこと言ってなかったっけか。

お姉さんは、お兄さんに奥さんがいることを知らないのだろうか。
それとも、知っているのに、付き合っているのだろうか。

良からぬ想像が巡る会長。

こういう時は何が正しい対応なんだろう。
正解を見つけられそうにもなく、とりあえず話題を変える。

「こちらはよくくるんですか?」
と無難な質問をお兄さんに投げかける。
「以前は近くに住んでたから、しょっちゅうきてたんだけど、今は引っ越しちゃって、前よりは来れなくなっちゃったんだよね」
ふええ。
確かに、地元にこういう雰囲気の店があったら、通いたくなるのも分かるなあ。

「そうですよねー、私たちも会うの久々ですもんね」とお姉さん。

あれ?

「そうなんですね、仲よさそうなんで、よく会っていらっしゃるのかと思ってました」と思わず言ってしまう会長。

「いやいや、実は話したこともあまりなかったですよね」とお姉さん。

あちゃー。
完全なる誤解が解けた瞬間である。
お二人は健全な常連さん達であった。
すっかり安心する会長。

一方、姉が笑いながらお兄さんに一言。
「そういえば、お兄さん。お寿司屋さんで奥さんいるから早く帰らなきゃって言ってたのに、2軒目寄ってるじゃないですか」
会長も同様に気になっていた。
ナイスつっこみ。

「うんうん、俺の奥さんは彼だから」と、奥にいる男性を指差すお兄さん。
不思議そうな顔をする姉妹に補足説明をくれる。
「このお店の店主だよ」
そっか、それだけお気に入りのお店ってことね。
笑う姉妹。

その後も、お姉さんやお兄さんとともにスウィーツ話や家族トークなどに花を咲かせつつ、ワインを堪能する。

挙句には、図々しくもお兄さんが誰かに渡すために持ってきたであろうスウィーツまでおすそ分けしてもらった。

和気藹々とした雰囲気でお酒を楽しんだ後は、しっかり気になったお酒もお土産に買っていく。

帰り道、出張中の夫から連絡が入る。
「チェックインしたよ」とのメッセージ。
侘しいホテルの室内の写メ付きだ。

かたや、寿司やらワインやらの写メを送る嫁。



「なんだあ?めっちゃ満喫してるじゃん笑」とのメッセージ。
自分がいなくて寂しい想いをしてるかと思ってた嫁は、ちゃっかり美味しい食べ物やら楽しいトークやらで築地を満喫しているのであった。

酒美土場
1040045
東京都中央区築地4-14-18妙泉寺ビル1階
03-3541-1295

次回日記は2020.1.4更新予定。
前回日記はこちら

「お酒以外に買ったお土産。」

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