嘘か誠か、人は、新しい場所に行けば行くほど長生きすると聞いた。
それが理由ではないけども、散歩が大好きだ。
特に新しい出会いや発見には、ワクワクが止まらない。
予定がない休日には、どうにも冒険したくなってしまう。
この日も、その発作が出ていた。
よし。
今日は、ちょっとディープな感じに攻めてみよう。
というわけで選んだのは十条。
赤羽の近くにあることもあって、飲み屋さんが多いそうな。
いざ出発。
昼間っから飲めるとこなんてあるのかな。
と商店街をうろついていて、気づいたのは、惣菜が安い。
某コンビニの大きなメンチカツよりも大きい、きちんと感のあるメンチカツで、なんと108円。
思わず地元民に混じって購入し、食べ歩きながら商店街を散策することとした。
奥へ進んでみると見えて来たのは、明るいうちから光っている電灯。
結構きれい目な外観の立ち飲み屋さんだ。
ビニール製のカーテンをくぐる。
と、店員さん、まだお客さんは来ないと見込んでいたのか、少しびっくりされた模様。
が、快く、店内に案内してくれた。
壁に目をやる。
気持ちいいくらい、はっきり手書きで書かれたメニュー短冊がたくさん貼られている。
揚げラー冷奴と日本酒を注文。
揚げラーとは揚げ玉にラー油を混ぜたものだそう。
こういう冷奴の食べ方は初めてであったが、お酒のあてに良い感じ。
その後、卵焼きとレモンサワーも注文。
サクッと、飲み食いし、ハシゴ酒をすることにした。
筋肉質で強そうな感じのする男性店主。
ドキドキしつつ、声をかけてみる。
「あの、この辺で女性一人でも飲みやすいお店ってありますか？」
「ん、そうだねえー」
真剣に考えてくれる店主。
剛腕な雰囲気漂うが、真摯に対応してくれて、優しい。
「あ、あの道行って左のとこに串焼き屋があるのよ。そこの店の人、僕のこと知ってるし、けっこう女性一人でも来たりするお店らしいから、紹介されて来たって言えば、きっと良くしてくれるよ。外人っぽい顔の人に声かけてみてね」
ほほう。
というわけで、次の店を目指して、十条の冒険の旅に出るのであった。
まるけん
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