姉と女二人酒、でも、ひとりで行ける恵比寿のお店、其の一。

休日、会長がひまそうにしているのを察した姉が、やたらとからんでくる。

「ねえ、サービス券あるし、出かけない?」
「欲しいものない?」
「あ、あのピザ食べたくない?」

正直、ひとりの時間を楽しもうと思っていた休日。
一緒に出かけるか迷う。

「昼下がりのお酒、飲もうよ!」

いつも以上にしつこかったので、結局、一緒に出かけることに。
目指したのは、大人オシャレな街、恵比寿。

姉としては、昼下がりの酒は絶対に外せないらしい。
まずは、君嶋屋
会長が恵比寿へきた時の待ち時間、ひとりで来たりする店だ。
駅直結なので、サクッと。
しかも、美味しいお酒が手頃に飲める。
さすが、角打ち。

昼酒できたことに、姉も嬉しそうだ。

その後、本格的に飲もうということで、移動。
道中に、姉がまだオープンしたばかりのお店を発見。
「何これ、気になる!ちょっと行ってみようよ!」

日本酒がたくさん揃えられているみたい。
入ってみることに。

立ち飲みであるが、内装は落ち着いているし、きれい。
デートでも使えそうだ。

そしてメニューも恵比寿なのに、けっこうお手頃。

おでんも美味しそうだ。

佐賀の地酒、「鍋島」を注文。
ひさびさに飲む。
思わず、「うれしい、最近、鍋島飲めていなかったからな」と漏らす会長。

その後も、気になる日本酒を姉と飲みまくる。

中でも、日本酒、町田酒造の「トリプルはてな」に反応する姉。

可愛らしい系かっこいい店主のお兄さんが説明してくれる。
「こちらの酒蔵の方、日本酒の固定観念を取り払ったお酒を提供したいという想いがあったみたいで。それで、造ったラベルなんですよ」

二人して、「へえー」と頷く。

飲んでみると、しっかりした甘みと旨み、そして華やかさもある。

「あれ、これ、何の米だろ。でも、無濾過生原酒っぽい味わいだな」
と、何となく飲んだイメージを発してしまう会長。

と、そんな呟きにお兄さんが反応する。

「あれ、日本酒に詳しいんですね」

「日本酒が好きすぎまして・・・・・・」と答える会長。

と、すかさず姉が言う。

「妹、利酒師の免許とってるんですよ!」
姉は何でも、気さくにしゃべってしまう。

実は、お兄さんも利酒師であることが発覚。
しばらく、日本酒関連の話題で盛り上がることになる。

「何かオススメの日本酒ありますか?」
と、お兄さん、会長が鍋島好きと言うのを聞いて、隠し酒を出してくれた。

「裏鍋島」である。

鍋島の中でも、あまり流通していない銘柄だ。

そこで、またもや、すかさず姉が反応する。
「あ、あれですね!マクドナルドの裏コークみたいですね。知ってます?実は、今、マックでも裏メニューやってるんですよ」

姉は、けっこう天然で、楽しいおしゃべりが大好きなのだ。
お兄さんも笑顔で反応してくれる。

日本酒に合わせて、姉と美味しそうな肴も注文。

おでんには、生ゆずの皮を下ろして、香りをつけてくれる。

中でも、「山くらげ」。

姉が注文した品だ。
「あれ!あ、まちがえた。中華に出てくる海月と勘違いしてた!でも、美味しい!」
そして、基本、声のトーンは大きい。

何を食べても美味しい。
しかも、お兄さんは日本酒に詳しい。

また、今度、ひとりでも来てみよう。
もちろん、姉ともまた来てみよう。

お店を見つけてくれて、楽しい時間を盛り上げてくれた姉に感謝。
が、酒飲み姉妹がここで終わるわけはない。

其の二につづく。

酒と香
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