おいしいお酒とおつまみと楽しい会話で長すぎる散歩。

白くまさんがワイングラスの横で、かわいらしく酩酊している様子が描かれた看板。
クマ好き飲み好きの会長が気にならないわけがないデザインだ。

「ちょっと散歩行ってくる」と母に告げて、お目当てのこちらのお店へと向かった。

お店を覗く。
L字型のカウンターテーブル。
中のキッチンには、優しそうなメガネのお兄さんが見えた。

まだお客さんは会長一人。
奥の席に座らせてもらった。

メニューには、魅惑的な国産ワインや日本酒が。
そして、おつまみのおでんも美味しそう。
全てお酒と食べ物に産地が書かれている。

お兄さんに聞けば、こちらのお店、食べ物も飲み物もほとんど国産だそう。
女性のオーナーが旅好き飲み好きの方だそうで、女性一人でも行きやすいお店作りにこだわったそうな。
お酒や食べ物は、旅先で見つけては買うことも多いらしい。
お酒については、毎回来るたびにラインナップが変わるそう。

ああ、何だか、聞いているだけでワクワクしてしまう。
会長も酒も旅も好きなのだ。

迷った挙句、「大根・卵・お麩のおでん」と「ラム肉のソーセージ」を注文。
ラム肉大好きなので、楽しみだ。

1杯目はサンマモルワイナリーの赤ワインを注文。

あどけない少年のラベルが何とも印象的だ。
タンニンの旨味が効いてるものの、さっぱりしていて飲みやすい。

お通しが出される。
何と。
優しそうなお兄さん、爽やかな感じで「国産キャビアでございます」とテーブルにお通しを置いた。

すごい、キャビア自体あまり食べたことないのに、国産のものとは。
石版のおしゃれな重厚なお皿に、上品な様子で小さめのスプーンにキャビアが盛られている。しかもスプーンは2つ。

少し緊張しつつも口にスプーンを運ぶ。
味は濃すぎず、さっぱり食べられる。
美味しい。

キャビアといえば、塩っぽくてクラッカーやらに乗っけて食べるイメージであったが、このキャビアであれば本来の味わいが伝わるようで、スプーンでオススメするのも頷ける。

1粒も残してはならないと、スプーンを念入りに口にすることにした。
お通しで、こんなにステキなら、これから出てくるおつまみも楽しみである。

おでんに合わせて、日本酒を注文。
お出汁には旨味系の日本酒が良かろう。
ということで、菊姫をチョイス。

そして待ちに待ったおでん。
お出汁が甘みと旨みの絶妙なバランスで、上品な味わい。
おいしい。

日本酒が好きな旨をお兄さんに告げると、詳しくそれぞれの味わいについて教えてくれた。
特に印象的だったのが、栃木の地酒「仙禽」にはクラシック版とモダン板があるとのこと。
仙禽自体は何度も飲んだことがあったが、クラシックかモダンかで意識的に味わいを比べたことはなかったなあ。
もっと勉強せねば。

この日はモダン版を飲んだ。

上品な酸味と甘み、そして旨みのバランスが良くてジューシー。
お兄さんが、日本酒っぽくない味わいとおっしゃる理由が分かった。
なお、お兄さんは、お店の日本酒セレクトを任されているくらい日本酒に詳しいみたいだ。

その後、テーブルに置かれたラム肉のソーセージ。

予想よりも大きい、そして旨味がたっぷりでおいしい。
合わせて、鳥取の赤ワインを注文することにした。

と、お一人様のお姉さんが一つ隣の席にやって来た。
お兄さんとの会話から、お酒好きの様子が伝わって来る。

話してみたいなあ、と思っていたところ、お姉さんの方から声をかけてくれた。
「よくいらっしゃるんですか?」

「いえ、実は私も今日が初めてなんですよね」

恵比寿から近い駅にお住いのお姉さん。
国産ワインが揃っているお店と聞いてやってきたらしい。
家には一升瓶のワインがあるくらいの猛者であることが判明。
お酒談義が盛り上がる。

と、出身地の話になり、お姉さんは広島ご出身であることを知る。
全然、方言が出ていない。

周りの関西人のほとんどは、都内にやってきても方言を崩すことはない。
むしろ、方言といってしまうと怒られることさえもある。
方言やない。標準語や。
というのが、彼らの主張らしい。

こんな話を会長がしていると、お姉さんが、そういえばとお好み焼きの話をしてくれた。

広島のお好み焼きと、関西のお好み焼きには大きな違いがあるらしい。
広島は麺があるのが基本だが、関西は麺が入っていないのが通常。

お姉さんは学生時代、地元の友人と大阪に行った時、どうすれば地元広島のお好み焼きを大阪で再現できるかを考えていた。
その結果、モダン焼きを注文して、具材を別々にして焼くという策に至ったそう。
大阪のお好み焼き屋さんでモダン焼きを注文し、具材を丁寧に焼いているお姉さんと友人。
一方、「あかんて、具材は混ぜてから焼くんやで」とお店のおばちゃん。
お姉さんと友人は正直に「実は、私たち広島出身で、広島のお好み焼きにしてみたくて・・・・・・」と伝えたところ、一切声をかけてくれなくなったらしい。

悲しいエピソードではあるが、笑ってしまった。

むむ。
スマホには母からの着信。
気づくと、話も盛り上がり、良い時間になってきている。
いかん、そろそろ帰らねば。
散歩にしては長すぎる。

ひとまず、散歩した感を出すため、帰りにはスーパーで買い物してから帰るのであった。

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「国産キャビア。」

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